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第4話 苦いものを分け合う

Author: 운디네J
last update publish date: 2026-10-18 21:30:34

「毒じゃないですよね?」

濃い茶色の湯気が立っていた。匂いだけで舌が縮こまるようだった。

ムジンが向かいに座った。

「毒なら先に言うと思いますか」

イヒョンは笑いかけて、咳き込んだ。

ムジンは呼吸が落ち着くまで待った。湯浴みをしてから、咳が増えている。

「いつも、こんなふうに?」

「もう、しばらく前からです」

「飲んでいる薬は」

イヒョンは濡れた上着のポケットから空の薬瓶を出した。ムジンはラベルを読んだが、知らない薬だった。

「ないと危ないんですか」

「早く家に帰ったほうがいいのは、確かです」

それ以上問い詰めないことが、かえって申し訳なかった。

「これは、ここでお茶にして飲む葉です。病気が治るとは言えません」

「どうして僕だけ飲むんですか」

ムジンは立って空のカップを取り、同じポットから注いで先に飲んだ。眉ひとつ動かさなかった。

イヒョンも一口飲んだ。

たちまち顔が歪んだ。

「本当に人が飲むものですか?」

ムジンの口元が、ほんの少しだけ動いた。

イヒョンはその顔を見つめた。ムジンはすぐにいつもの表情に戻ったが、遅かった。

「今、笑いましたよね」

「笑ってません」

「嘘、下手ですね」

ムジンは戸棚から小瓶を取り出した。蜂蜜だった。イヒョンのカップに少し落とし、かき混ぜる。

「最初から入れてくださいよ」

「先に飲んでみろと言ったでしょう」

そこでようやく、イヒョンは声を上げて笑った。

* * *

午後になると、雨が一時弱まった。

ムジンは救助を求める目印を確かめに行く支度をした。水と食べ物をイヒョンの手の届くところに置き、ストーブの前には薪を積んだ。

「日が暮れる前に戻ります」

「僕のために、また危ないところへ行くんじゃないですよね?」

ムジンは戸の取っ手を握ったまま振り返った。

「いつも通る道です」

戸が閉まると、イヒョンはカップの底に残った葉を見た。裏側が銀色だった。そばには、ムジンが開いたままにした古いノートがあった。

日付と天気、採取した場所の横に、葉の絵が描かれている。

ページをめくることはしなかった。

ただ、開かれたページの下のほうにある一文が目に入った。

春の葉と秋の葉を混ぜないこと。

その末尾には、別の筆跡で短く書き足されていた。

忘れるな。

イヒョンは手を引っ込めた。許しもなく、これ以上読む気にはなれなかった。

* * *

帰ってきたムジンの手の甲には、血がにじんでいた。

イヒョンは挨拶より先に、それに気づいた。

「手、けがしてます」

「枝で引っかいただけです」

「こっちへ来て」

ムジンの足が止まった。

イヒョンは寝台のそばの布を取り、水で濡らした。

「座ってください」

「これくらいなら――」

「僕が同じことを言ったとき、聞いてくれなかったでしょう」

イヒョンはその手を支えた。手のひら一面にまめがあり、指の節には古い傷が残っていた。ムジンは何でもないという顔をしている。

イヒョンは布で血を拭った。

「痛かったら言ってください」

ムジンは答えなかった。

代わりに指を少し曲げた。イヒョンの指先が、その中に一瞬収まってから離れた。

「ここでは、手がいちばん大事なんでしょうね」

「そうですね」

「なら、もっと大切にしないと」

ムジンがイヒョンを見た。

イヒョンは傷に清潔な布を当てて結んだ。結び目が曲がったので、やり直そうとしたが、ムジンが手を引いた。

「もう大丈夫です」

気に入らなかったのだろうか。

けれど、ムジンは布をほどかなかった。

* * *

日が暮れると、イヒョンの顔が熱を帯びた。

ムジンは火を調節し、濡れた布を持ってきた。外へ出て空を見上げる。沢のほうからは、まだ激しい水音がしていた。

イヒョンはうとうとしながら、戸を開ける音を聞いた。

「行けませんか」

ムジンが戻ってきた。

「今は。夜が明けたら、また見てきます」

椅子を寝台のそばに寄せた。イヒョンはその手の甲にある結び目を見て、目を閉じた。

さっきとは逆に、自分が横になっている。

「迷惑かけて、ごめんなさい」

ムジンは布を畳む手を止めた。

「具合が悪いことを、なぜ謝るんですか」

イヒョンは答えなかった。

家では、誰もそんなふうには訊かなかった。大丈夫だとか、仕方がないとか、そう言うばかりだった。そのたびに、自分自身がどうしようもない存在のように思えた。

ムジンはつらくないかと訊いた。イヒョンは首を横に振った。

眠りに落ちる直前、低い声が聞こえた。

「明日は、少しでも楽になるといい」

願いごとのように聞こえた。

イヒョンは、そうなると答えたかった。

けれど今度は、守れないかもしれない約束をしなかった。代わりに、布団から手を少しだけ出した。

しばらくして、指先にもう一人の体温が触れた。

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